近年、日本でサウナが急速に人気を集めています。2021年には、サウナと水風呂を往復し、温冷交代浴でリラックスする状態を表す「ととのう」という言葉が、「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン 新語・流行語大賞」の候補にノミネートされました。
直近では、個室サウナが注目されています。通常のサウナ施設と異なり、他人の目を気にすることがないため、その快適さとプライバシーを求めて多くの人々が個室サウナを利用しています。その流れにのるために個室サウナの開業を考える人も多いでしょう。
個室サウナの開業の流れや物件選びを行ったら次はスタッフの採用です。優秀なスタッフを採用すると店舗運営の効率が上がり、経営が安定します。しかし、個室サウナの開業には費用がかかり、採用に予算を割きたくとも難しい場合があります。費用をかけずに優秀なスタッフを採用するにはどうしたらいいのでしょうか。
本記事では、個室サウナ経営で費用をかけずに優秀なスタッフを採用するポイントやコツ、やり方について解説します。
個室サウナの仕事内容
フロント業務
個室サウナのフロント業務は、利用者の受付や案内、予約管理、料金の受け渡しなどを担当します。フレンドリーな接客態度とコミュニケーション能力が求められ、利用者の問い合わせに対応することも重要です。小規模な施設の場合、清掃や整備などすべての業務を担当することもあり、フロント業務は、円滑な運営をサポートし、利用者に快適なサウナ体験を提供するために欠かせない役割です。
清掃業務
個室サウナの清掃業務は、サウナ室やシャワールーム、館内やトイレなどの清潔さを維持することを目的として行われます。床や壁面の拭き取り、ゴミの回収、アメニティやタオルの補充などが含まれます。定期的な清掃スケジュールに基づいて作業を行い、利用者が快適で衛生的な環境でサウナ体験を楽しめるようにする重要な業務です。サウナをはじめとした入浴施設は清潔感が必須です。加えて個室サウナは他人と入浴することに抵抗がある人のニーズもあるため、高い品質の清掃を提供することが求められます
飲食サービス業務
さらなる集客を狙って個室サウナにカフェやレストランなどの飲食店を併設することもあります。その場合、メニューの準備、オーダーの受付や調理を行うため、調理担当、ホール担当のスタッフの配置も必要です。フレンドリーな接客と迅速なサービスが求められますが、食券制やセルフサービスなどを導入することで人員を絞る工夫もできます。その他、衛生基準や食材の品質管理にも注意が必要です。また、個室サウナのレストラン業務では、健康志向のメニューや特定のダイエットニーズに対応するオプションと親和性があります。
巡回・点検業務
個室サウナは高温多湿の部屋を1人で利用するというビジネス形態上、安全性により気を配る必要があります。個室サウナの巡回・点検業務では、施設内を定期的に巡回し、設備や環境の状態を点検します。温度や湿度の調整、設備の故障や不具合のチェック、清潔さの確認などが主な業務です。消防法に則り安全性や衛生基準を満たしているかを確認し、必要なメンテナンスや修理を報告・対応します。利用者が快適かつ安心してサウナを利用できるよう、常に施設の安全性と快適性を維持することが重要です。
お客様対応全般
個室サウナのお客様対応業務では、利用者の案内、設備の説明、問い合わせへの迅速な対応などが求められます。フロント担当が兼任することもありますが、施設の規模が大きくなると、フロントだけでは対応しきれないため別に担当が必要です。丁寧な接客態度、コミュニケーション能力、利用者の要望や不満に対する迅速な対応が重要です。利用者の快適なサウナ体験や満足度向上を目指し、親切で信頼できる対応を提供することが求められます。
事務作業全般
ここでいう事務作業とは、経営に関連する裏側の業務を指します。個室サウナの事務作業には予約管理、電話応対、アメニティや水など備品の発注、会計管理などが含まれます。さらに、文書作成やメールの送受信、書類の整理などの一般的な事務業務も担当します。小規模な施設の場合、運営者がすべてを行うこともありますが、施設の規模が大きくなった場合は専任の担当に任せた方がスムーズな運営と利用者の満足度向上につながります。
優秀な人材の特徴
ビジネスの成功は、その組織に所属するスタッフの質に大いに左右されます。しかし、優秀な人材とは一体何を指すのでしょうか。優秀な人材の特性を理解することは、経営側が適切な人材を見つけ、その能力を最大限に引き出すための鍵となります。個室サウナにおける優秀なスタッフとはどんな人物か、解説していきます。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高いスタッフは利用者と効果的にコミュニケーションをとることができ、問い合わせや要望に迅速かつ適切に対応することが可能になります。フロント業務、飲食サービス業務を担当するスタッフには特に必要な能力です。顧客満足度の向上に繋がり、リピート利用や口コミによる新規顧客獲得に貢献します。コミュニケーション能力が高いスタッフは、利用者だけではなく他のスタッフとのコミュニケーションも円滑にとることができるため、チームワークの向上にも貢献します。
問題解決能力が高い
問題解決能力が高い人材は、問題発生時に適切なアクションをとることができます。開業当初は運営側も不慣れなため、気をつけていてもトラブルが起きやすい状況です。特に個室サウナは温度、湿度の問題や衛生面、予約受付などで利用者の心証を悪くすることもあります。そこで問題解決能力が高いスタッフがいれば、問題の早期解決に繋がり、顧客の不満や店舗の評価が下がることを未然に防ぐことができます。
専門知識、経験を活かせる
個室サウナの運営には、以下のような専門知識や経験が役立つことがあります。
サウナの運営知識
サウナの効果や利点、温度や湿度の管理方法、適切なサウナの入浴時間や頻度などについての知識が必要です。公益社団法人日本サウナ・スパ協会の公式資格として「サウナ・スパ 健康アドバイザー」、「サウナ・スパプロフェッショナル」があります。
衛生管理
衛生基準や衛生法令に関する知識が必要です。清掃方法や消毒の手順、廃棄物処理のルールなどについて理解していることが重要です。
安全管理
緊急時の対応や救急処置の知識、施設内の安全対策、火災予防などに関する知識が求められます。利用者の安全を守るために、常に安全管理に配慮する必要があります。
飲食系の資格の保持、経験
飲食サービスを提供する場合、資格、経験が必要です。栄養士、調理師の資格が特に活かせます。
接客サービスの経験
フロント業務やレストラン業務などでは、利用者との接客サービス経験やコミュニケーション能力が役立ちます。利用者の要望や問い合わせに対応し、満足度の高いサービスを提供することが可能です。
施設管理
建物や設備の維持管理、予約システムの運用、イベントの企画・運営など、施設全体の管理に関する経験が役立ちます。適切な予算管理や効率的な運営計画を立てる能力も必要です。
ビジネス運営の知識
施設の運営管理、人員管理、財務管理など、一般的なビジネス運営の知識があると経営者の助けになります。
これらの専門知識や経験を持つスタッフがいれば、個室サウナの運営において効果的かつ安全な環境を提供することができます。
さらに、スキルに加えてコミュニケーション能力が高いスタッフは、自分自身のスキルや経験を他のスタッフと共有することができ、全体のレベルの向上に貢献します。
柔軟性が高い
柔軟性が高い人材は、様々な業務に適応し、効率的にこなすことが可能です。特に開業直後は予約の受付、フロント業務、清掃や施設管理などを限られた人員でこなさなければなりません。柔軟性のあるスタッフがいると人員不足時の対応に役立ち、運営の効率化が見込めます。ただし、優秀なスタッフにすべての仕事をずっと任せていいわけではありません。あくまで一時的なものとして、できる限り早めに人員を強化しましょう。
また、業界のトレンドや利用者のニーズは常に変化します。個室サウナ自体がトレンド性の高いビジネスのため、特にその傾向が強いです。柔軟性のあるスタッフは変化に対応し、新しいトレンドを取り入れてビジネスを発展させられる能力を持っています。
チームワークを築くことができる
コミュニケーション能力や柔軟性が高いスタッフは、インナーコミュニケーションを行い、他のスタッフとの良好な関係を構築し、チーム内の一体感を高めることができます。特に開業直後は戸惑うことが多く、チームワークが必要になる場面も多いでしょう。チームワークの強化はスタッフの士気向上に繋がり、ワークフローがスムーズになり、結果的にサービスの品質向上に貢献します。
顧客志向がある
顧客志向、つまりお客様視点を持つ人材がいることは、個室サウナのサービス向上、売上増加、自社ブランドの向上に大いに寄与します。新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
顧客志向が高いスタッフは、利用者の要望を理解し、それに対応するサービスを提供できるため、利用者のリピート率が向上する可能性があります。さらに、顧客視点から物事を考えることで、サービスや施設の改善点を見つけやすくなります。トラブルを事前に察知し回避することも可能です。顧客の視点を常に持つことで、顧客満足度はもちろん、信頼性を高めることができます。
優秀な人材を見極めるポイント
個室サウナの運営に適した優秀なスタッフを見極めるにはいくつかポイントがあります。実際に会って話すことができる面接で見極めることをおすすめします。
コミュニケーション能力の高さは最も重要です。なぜならば、コミュニケーション能力が高いと優秀な人材の特徴をすべてカバーできるためです。経験やスキル、自己PRを適切に伝える能力があるか、一方でこちらの話にも耳を傾ける聞き上手でもあるかを確認しましょう。
仕事をする上での人間性もチェックポイントです。他の業種より接客の頻度は少ないとはいえ、個室サウナは顧客と対峙するサービス業です。メールのレスポンスや挨拶、お礼などの社会人としてのマナーができているかどうかは、採用で最も重要な項目となります。接客などサービス業の経験がある人は、スキルがあるので即戦力となります。
サウナの知識はあるに越したことはありません。予約システムや顧客管理システムなどのITシステムを操作するスキルも役立ちます。一方で、現時点で知識がなくとも学ぶ意欲があれば十分期待できます。
採用するためのポイント
どのようにして優秀なスタッフを採用するのでしょうか。以下に、そのための重要なポイントをご紹介します。
採用目的の明確化
採用の目的を明確化すると、適切な求人情報を作成できます。目的に沿ったスキルや経験を持つ求職者を引き付ける内容を作成しやすくなるためです。さらに、採用の目的に基づいて、具体的な評価基準や面接の質問を作成できるため選考プロセスをスムーズにすることができます。
採用の目的を組織のビジョンや戦略と連携させることで、長期的に店舗に利益をもたらしてくれる人材を採用することも可能です。
人材要件の見直し、具体化
求める人材要件を見直し、具体化すると、適切な人材をより効率的に採用することができます。
優秀な人材の特徴をすべて持っている人はなかなかいないため、採用することが困難です。また、求めるハードルが高すぎると応募すら来なくなり、本末転倒です。求める条件の中で絶対に必要なポイントを絞っておき、他は未経験OKとすることで、人材を集めやすくなり、候補者も広がります。ポイントを絞っているため採用側の評価軸もぶれず、公平かつ一貫した評価を行うことが可能です。
魅力的な求人票の作成
個室サウナの特徴、働く環境、提供する福利厚生などを具体的に伝える求人を作成します。求人に入れるのは主に以下の6点です。
仕事の詳細 | 明確な仕事内容は求職者に安心感を与え、期待と実際のギャップを避けることができます。情報が少ないと不信感を与え、敬遠されることもあります。 |
勤務条件 | 勤務時間、勤務日数、勤務地、月給など、具体的な勤務条件を明記します。ライフスタイルと照らし合わせることができます。シフト制かどうかも記載が必要です。 |
報酬 | 給与以外にも、社員割引、社員研修、昇給制度など、特典やメリットを強調することで求職者の関心を引きます。 |
成長の機会 | アルバイト、未経験OKでも、将来的なスキルアップやキャリアアップの可能性を伝えることで魅力を感じさせます。店長候補かどうかも記載しましょう。 |
企業文化 | 企業の価値観や雰囲気を伝えることで、求職者が自分と合致するかどうか判断できます。 |
応募方法 | 応募の手順を説明し、かんたんであることを強調しましょう。複雑な応募プロセスは求職者を途中で脱落させてしまいます。 |
個室サウナは新しいビジネスのため、候補者側に知識がなく働くイメージをつかみにくい傾向があります。そのため、求人でしっかりと特徴やメリットを訴求することが必要です。
求人は分かりやすく、明瞭で、親しみやすい言葉で書くことが重要です。サウナや館内の様子などの適切なビジュアルを使用すると、求人はさらに引き立つでしょう。最後に、採用担当者の連絡先も明確に示すことを忘れないようにしましょう。
適切な報酬、労働条件、福利厚生を提供
競争力のある給与や福利厚生を提供し、店舗の強みをアピールすることで、優秀なスタッフを引きつけることができます。週○日勤務OK、業務時間外にサウナ利用し放題、社員登用あり、などを検討しましょう。
2023年現在、東京労働局によると東京都の最低賃金は1,072円で、株式会社リクルート「TOWNWORK」によると、2022年8月、東京都のアルバイト・バイト・パートの平均時給は1,217円でした。
職種、地域ごとの平均時給も参考にしつつ、各種求人サイトで個室サウナの求人情報をチェックし、納得のいく報酬を提示できるとベターです。
ブランドの強化、方向性やビジョンの共有
店舗、または運営側の価値観、ビジョン、ミッションを明確に伝え、強いブランドイメージを構築します。そのブランドイメージが、自身の価値観やキャリアのゴールと一致する候補者を引きつけます。店舗への愛着にもつながります。
費用をかけない採用手法
スタッフを募集するには求人サイトに募集広告を掲載するのが一般的です。しかし、開業前で予算が取れない場合も考えられます。費用をかけずに採用する手段について紹介します。
自社ホームページ
自社のホームページに採用についてのページを設け、求人情報を掲載します。情報は定期的に更新しておきます。応募方法の記載も忘れずに行います。
Webサイトがない、作成も検討していない場合もあると思いますが、できる限り準備することをおすすめします。スタッフ採用のためだけでなく、集客にも必要だからです。
スマートフォンの普及により、事前にインターネットで情報を調べて店舗に訪れる利用希望者がほとんどです。特に個室サウナの初回利用者の場合、事前に知識がなく、インターネットで情報を収集することが一般的でしょう。その際に自社ホームページがないと不安を与えてしまい、新規顧客を逃してしまいます。
自社ホームページに求人を出していると、Google検索エンジンの機能の一つである「Googleしごと検索」に無料で情報を掲出してもらうチャンスが得られます。少しテクニックが必要ですが、検索エンジンで求人を検索している求職者を取り込むことができます。
SNS
Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用し、求人情報を投稿します。最近ではSNS経由で就職先が決まったという人も数多くいます。SNSは個室サウナの施設内容、店舗や働くメンバーの雰囲気などを写真や文章で候補者に伝えられます。個室サウナを知らない人でも親しみやすく、働くイメージが形成されやすい手段です。フォロワーや友人・知人に拡散してもらうことで、広範囲の応募者にアピールできます。さらにSNS上で求職しているユーザーを探して直接コンタクトをとることもできるのも利点です。
従業員の紹介(リファラル採用)
既存の従業員がいる場合、知人や友人を紹介してもらう制度が有用です。紹介された人が採用された場合には、ボーナスや休暇日、併設の飲食サービス無料券など、何らかの報酬を提供すると良いでしょう。推薦する人が候補者の能力や性格を理解しているため、リファラル採用は新たなスタッフの品質担保に役立ちます。
地元のハローワークや就職センター
地元のハローワークや大学の生協などと連携し、求人掲載してもらう方法もあります。民間の求人媒体とは異なり、無料で求人をのせることが可能です。掲載後すぐに応募がくる保障はないため、急いで採用したい場合には不向きですが、採用の間口を広げる手段の一つとして検討する価値はあります。
オンラインとオフラインのネットワーキング
人材獲得のためのイベントに参加したり、業界のオンラインコミュニティに顔を出したりすると、優秀な候補者を見つける機会が増えます。つながりを得た方から人を紹介してもらうことも期待できます。
まとめ
今回は、個室サウナで費用をかけずに優秀なスタッフを採用する方法について解説しました。
人気が高まっているサウナ、個室サウナの運営における成功の鍵は優秀なスタッフの採用にあります。そのためには、個室サウナの運営に関連する業務は何があるかを把握することが不可欠です。そのうえで採用の目的と求める人材像を明確にし、採用プロセスを計画的に進め、候補者の本質的な能力やポテンシャルを見抜くことが求められます。
また、求人作成時には、企業文化や勤務条件、職務内容を具体的に記載し、働くことのメリットを明確に伝えることが重要です。特に個室サウナは新しいビジネスのため、SNSやホームページなどを利用し、情報は積極的に発信しましょう。こうしたアプローチにより、能力と適性を兼ね備えた優秀なスタッフを採用し、個室サウナの長期的な成功につなげることが可能となります。 優秀なスタッフを確保し、利用者、運営者双方にとって快適な個室サウナ運営を目指しましょう。
個室サウナには、予約システム「RESERVA」がおすすめ!
画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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