オンラインサロンとは、インターネット上で運営されている、月額会員制のクローズドなコミュニティのことを指します。オンラインサロンと聞くと、有名な芸人や著名な学者などを思い浮かべる方も多いと思いますが、それ以外にも飲食店のオーナーや美容師、アスリートなど、専門的かつ実践的な知識を持つさまざまな立場の人たちによって運営されています。タイムパフォーマンスを重視する現代人にとって、通勤・通学中などの移動時間や、ちょっとした隙間時間にデバイスを通して学びを深めることができるオンラインサロンは、今後さらなる需要が見込まれます。
このような背景から、オンラインサロンを自分で始めてみたいと考える方も多いでしょう。オンラインサロンの開業にあたっては、適切なステップを踏みながら、世間の需要を満たすことのできるコンテンツの作成が必要です。本稿では、オンラインサロンの開業準備と予約システムを導入するメリットについても紹介します。

オンラインサロンの開業に向けて
オンラインサロンを開業するにあたり、世間への適切なアプローチを計画することが成功への第一歩です。
市場分析
オンラインサロンの開業をする際、現在の市場がどのように展開されているか把握したうえで、自分はどのようなコンセプトでどの層を対象にした事業を展開するかを決めます。オンラインサロンの運営大手であるDMMオンラインサロンでは、「盛り上がっている人気のサロン」として、今どのようなオンラインサロンが人気なのか一覧で確認することができます。
・秘密結社NaokimanShow – 新世界より -
・相葉裕樹OFFICIAL FANCLUB 『Cafe88』
・葉山拓亮オンラインサロン “s-cage/エスケージ” etc…
YouTubeでは語れないことや、俳優によるお悩み相談、音楽家の素顔など、上記のサロンではいずれも魅力的なコンセプトが設定されています。コンテンツとしての価値だけでなく、会員との距離感も考慮したサロン運営が重要です。
コンセプトの決定
オンラインサロンは、大きく4種類に分けることができます。サロンを開設する際、自分の思い描くコンセプトがどの種類に当てはまるかを理解したうえで準備を行いましょう。
①ファンクラブ型……芸能人やアーティスト、アスリートなどのファンが集まるサロン。
②コミュニティ型……趣味や目標が共通する人が集まるサロン。
③レッスン型……特定のスキルや知識を持つ主催者による、学習の場としてのサロン。
④プロジェクト型……サロンとしてひとつの計画を立て、そこに向かって協力し合うサロン。
ターゲット顧客の選定
開設したオンラインサロンを効果的に売り出していくために、適切なターゲット層を選定する必要があります。例えば、受験勉強や資格試験に向けた学習法を提供する場合は、主に10代から20代の若者が中心となります。投資や起業といったビジネス系のサロンであれば、前者と比較して社会人の参加率、年齢層が高いことが予想されます。若者に向けたサロンであれば、無料体験や安価なプランを用意することで定着を図ることができます。また、社会人向けのサロンであれば、適切な価格設定をすることによって、より有益なコミュニティを作成することができます。収益モデルやマーケティング戦略を明確にするためにも、ターゲット顧客の選定は必要です。
集客方法の決定
より多くの人に自身のサロンを知ってもらうためには、SNSの活用が必須です。コンセプトやターゲットを絞ったのち、これら2つの要素を効果的に活かすことのできる集客方法を考えましょう。総務省の発表している「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 」では、主要SNSでの年代別や性別ごとの利用割合が確認できます。これらのデータを参考に、適切な集客を目指しましょう。
YouTube
若い世代の方が利用率は高く、10代から30代にかけて90%を超える利用率があります。また、男性の利用率は89.9%となっており、女性の84.2%を上回っています。年代・性別問わずに人気の高いSNSであることが分かります。
X(Twitter)
年代別利用率は20代が唯一70%を超え、30代、10代と続きます。男性の利用率44.3%を上回り、女性が46.2%となりました。20代の突出が目立つ結果であることが分かります。
10代と30代から50代にかけて、LINEとYoutubeに次いで利用率が高いことが分かります。男性の利用率41.4%に対し、女性は58.9%と圧倒的で、女性から支持を得ていることが分かります。
参考:「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 」
開業準備のステップ
ここまでは、オンラインサロンを始める際の大前提を確認しました。ここからは、本格的に開業に向けたステップを解説していきます。

法律、規制、許認可について
開業届の提出
オンラインサロンの開業に当たっては、必ずしも開業届が必要というわけではありません。しかし、開業届を提出することで、屋号を用いることや、確定申告にて青色申告ができるというメリットがあります。開業届を提出する場合は、開業届の書式を税務署窓口や国税庁HPから受け取り、ダウンロードして必要事項を記入しましょう。
気をつける法律や規制・許認可
事業を始める際には、法律や許認可が気になるところです。オンラインサロンは近年急速に普及したため、特にその詳細を確認しておく必要があります。リーガルブレスD法律事務所が運営するLegal Express では、下記のように解説されています。
オンラインサロンに対して、全般的に取り締まる法律は存在しません。したがって、オンラインサロンを事業として開始するに際しては、原則的には特段の許認可は不要です。
ただし、参加手続き等をWEB上で行い、オンラインサロン参加者より何らかの金銭を徴収する場合、通信販売に該当することになります。
したがって、特定商取引法に定める通信販売規制を遵守する必要があります。
オンラインサロン事業を行うために知っておきたい法務知識について、弁護士が解説!
テーマ・方針の発信
会員を獲得するためには、「自分のオンラインサロンではどのようなコンテンツを提供できるのか」ということを、より多くの人に知ってもらう必要があります。「集客方法の決定」にて解説したように、複数のSNSを用いて自身のオンラインサロンや取り組みについて発信することで、広告費を抑えつつ集客につなげることができます。また、このほかにも、ブログやホームページを開設してみたり、関連コンテンツの制作や販売をしたりするなど、多様な発信方法が考えられます。
プラットフォームの選定
オンラインサロンを始める場合、コンテンツを配信する機能や会員情報を管理するシステムの利用が不可欠です。初めてオンラインサロンを始める場合は、このようなサービスを備えたプラットフォームを利用することをおすすめします。
本稿でも紹介したようなDMMオンラインサロンを始め、CAMPFIREコミュニティやFANTSなど、オンラインサロンにはさまざまなプラットフォームが存在します。どのプラットフォームが最適であるか、自身の発信するコンテンツや獲得したい会員の層などを考えて決めましょう。
DMMオンラインサロン……オーナー報酬最大90%、専用管理ツール、デジタルコンテンツ販売機能、サポート代行などが魅力。初期費用・年間更新費用無料。イベントや講演の出演につながる場合もある。
CAMPFIREコミュニティ……サロン数が多く、オーナーサポートやカテゴリーが充実。手数料は支援総額の10%。
FANTS……専用アプリがあり、ポイント機能やライブ配信機能が充実。初期費用と月額費用あり。
サロン運営と収益化
オンラインサロンを開設して、終わりではありません。ここからは、継続的な運営や収益化について解説していきます。

収益の獲得
オンラインサロンの収入源としては、サブスクリプション形式が一般的です。そのため、会員数を増やすことができれば、継続的な収入を増やすことができます。ターゲット層を絞った価格設定や、魅力的なコンテンツの発信によって、着実に会員数を増やす必要があります。流行や需要をキャッチし、SNSを活用して積極的な発信をしていきましょう。
サブスクリプションとは
定期購読や定額制などの、一定期間利用できる権利に対して料金を支払うビジネスモデルのことを指します。音楽配信アプリや、動画配信サービスが有名です。すでに無料で提供されているサービスのアップグレード版を月額制として提供するパターンも存在します。
コンテンツの継続
日々新たなコンテンツが生み出されるオンラインサロンでは、いかにサロン運営を長く継続できるかという点が大きな課題となります。会員数を減らさずに競争を生き残るためには、魅力的なコンテンツの配信や、会員の満足度向上に働きかけなければなりません。また、定期的なイベントの開催や、会員同士の交流の場を設けるなど、長く会員として在籍することに魅力を感じる空間づくりは必須です。
収益モデルと価格設定
オンラインサロンの収入源は主に会費収入となります。オンラインサロンの種類や質、ターゲット層によって価格設定は変わります。自身の提供するコンテンツがどのような人に需要があるかを逆算し、適切な価格帯を設定することが大切です。また、グッズ販売やイベントの開催など、サロンの規模やコンセプトによっては会費収入以外でも収益が見込まれます。サロン会員の求めるものを身近な距離感で汲み取って提供できるのも、オンラインサロンならではです。
誰でもかんたん!独自のサイトでオンラインサロンを開設する裏ワザ
既存のオンラインサロン向けプラットフォームでは、さまざまなサービスが用意され、人の流れも多く、始めやすい環境が整っています。その一方で、数多くのサロンが開設されており、自身が開設したサロンを発見してもらうのは難しく、目移りする環境で長く会員でいてもらうのは一苦労です。
そこで本稿では、誰でもかんたんに独自のオンラインサロン用サイトを作成して活動できる「予約システム」に注目していきます。
オンラインサロンと予約システム
予約システムと聞くと、オンラインサロンとは無関係な印象があるかもしれません。しかし、ライバルのいない独自のサイトで会員を募り、予定・収入の管理や集客に効果的な連携機能などを備えた予約システムの活用によって、クローズドかつ自由なサロン運営が可能となります。
無料で開設から運用まで
サイト作成から運用まで無料で行うことができる予約システムを活用し、初期投資不要でオンラインサロンの開設に挑戦することが可能です。無料でサロンを開設できる予約システムであれば、サロンの運営を体験し、オンラインサロンのイメージをより具体化させることができます。また、プラットフォームで獲得した会員を予約システムに誘導し、よりクローズドなサロンを開設する、というような運用も可能です。
あくまで予約システムであるため、オンラインサロン向けプラットフォームによく見受けられる、運営会社による報酬の中抜きが無く、ストレスフリーな点も魅力的です。
Zoom連携機能を活用
Zoomと連携している予約システムを利用することで、スムーズなサロンの開設が可能です。Zoomを別途で管理する必要がなく、予約されたサロンのメニューに応じて自動でミーティングが作成されるため、効率的かつ円滑にサロン運営をすることができます。
まとめ
本稿では、誰でも始められるオンラインサロンのかんたんな作り方・始め方と題し、ステップに分けて解説しました。現在、ウイルスの蔓延やタイムパフォーマンスを重視する風潮から、ネット上での有益なコンテンツの需要が増す中、オンラインサロンに着目しました。経験や知識を共有し、オンラインでつながり合えるオンラインサロンの需要は今後も増していくことが予想されます。