日本政府観光局の「訪日外客数(2024年2月推計値)」によると、2024年2月時点の訪日外客数は278万8,000人です。2019年同月比の260万4,322人を超え、新型コロナウイルス感染症拡大後で過去最多となりました。
着物レンタルは、成人式や卒業式などでよく利用されるサービスで、近年は観光地での利用も年々増加しています。着物レンタルは友人同士やカップル、修学旅行生のみならず、現在ではインバウンド需要に伴い外国人観光客からも注目を集めています。その理由として、着物を着て観光スポット周辺で写真を撮ることや、日本の伝統文化を体験したいなどが挙げられます。
このような着物レンタルの需要が高まる中、着物レンタルの開業を考える方も多いでしょう。開業を進めるにあたりコンセプトの立案、サービス設計、物件選びなどの準備を行うことが重要です。
本記事では着物レンタルの開業手順、着物の調達先と管理体制、効果的なプロモーション戦略について解説していきます。そして、着物レンタルの運営に予約システムを導入するメリットについても紹介します。
開業手順
着物レンタルの開業を進めるにあたり、以下のステップを押さえて準備していくことが大切です。
コンセプトの立案
ターゲティング
ターゲティングでは、セグメンテーションにより細分化された市場を評価して、どのセグメントの顧客をターゲットとするかを決定します。成人式や結婚式など重要なイベント向けの着物をレンタルしたい顧客や、写真撮影を楽しみたいカップルや旅行客など手軽で通いやすさを重視する利用者などが挙げられます。
対象となるターゲット層の年齢、性別、サービス内容によって、設定すべきサービス料金が変化します。そのうえで、ターゲット層は具体的にどのくらい頻度でいくらまでなら来店してくれるかまで考察します。
差別化戦略
差別化戦略を実施することで、自身の施設が顧客に選ばれやすくなり、ロイヤルティの形成につなげられます。差別化の要素として、豊富な着物の着付けやアクセサリーの提案、着物を着て観光地を巡るパッケージツアーなど体験価値の提供が挙げられます。
サービス設計
サービス概要の決定
着物レンタルのサービスでは、顧客ニーズに合わせた多様なレンタルプランの提供が重要です。例えば、短期レンタルは数時間から一日単位で利用可能なプランを含まれ、長期レンタルでは一週間以上の使用を想定したプランを用意します。
また、季節限定プランでは、夏祭りや花見時期に浴衣をレンタルするサービスを展開することが可能です。
特別企画の提案
顧客の記念日や特定の連休に合わせた特別プランを提供し、独自性を出すことが重要です。例えば、バレンタインデーやクリスマス限定の着物レンタルプランを設け、期間限定で特別デザインの着物を提供することが挙げられます。
物件選びのポイント
着物レンタルの物件選びで重要な要素は、人通りの多い場所に出店することです。 人通りの多い道沿いの物件は、通行人の目に留まりやすく新規顧客を獲得しやすくなります。
また、観光地の近くの物件を選定することで、利用者が着物を借りた後に観光スポットで写真撮影などを行いやすくなります。
事業計画の立て方
着物レンタルの事業計画を策定するうえで、どれくらいの規模で事業を実施するのか、開業資金やランニングコスト、収益見込みなどを考慮します。また、物件家賃や人件費などのランニングコストは、慎重に仮説検証して、正確な数値を算出することが重要です。
正確な事業計画を策定することで、資金調達をしやすくなり、資金難に陥るリスクを下げられます。
開業に向けた資金調達
開業資金の調達方法は主として、クラウドファンディング、助成金、融資が挙げられます。多角的な方法を踏まえることで、自身の店舗に適した資金調達を実施することが重要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、プロジェクト・事業を立ち上げた人に対し、多くの支援者から資金を募る仕組みを指します。銀行ローンや投資家からの資金調達と異なり、借金を背負うリスクがなく、事業に失敗しても負債が残らないことが特徴です。
一方で、世間から魅力的な企画として認知されないと、目標金額の達成が難しくなる可能性があります。
クラウドファンディングによる資金調達の事例
・一般社団法人しまだきものさんぽ 「島田を着物を着た人であふれた町にしたい」
助成金
助成金は、地方自治体や財団法人などの団体が特定の条件を満たす事業者に対して、無償で提供する経済的支援を指します。助成金は後払いで事業者に入金されることが特徴です。
助成金の審査をするうえで、計画的な資金計画が求められます。
・近畿経済産業局 「補助金採択後は、書類整理も重要です!」
金融機関からの融資
開業資金が不足している場合は、金融機関からの借入れを検討します。信用情報や事業計画の内容に基づいて、金融機関から融資を受けることができます。融資の条件や金利、返済計画をしっかりと把握し、事業の収益性を損なわない範囲で借入れを行うことが重要です。
・東北銀行 「創業支援ローン 〜起業のとびら〜」
・千葉銀行 「ちばぎん地方創生融資制度」
・福岡銀行 「創業支援」
営業許可の取得
レンタル着物の開業に必要な資格と届出の手続きをすることで、公式に開業ができます。
届出
個人事業主としてレンタル着物を開業するにあたり、1カ月以内に所轄税務署に開業届を提出する必要があります。一方で法人設立の際は、法人設立日から2か月以内に法人設立届出書の申請が求められます。
参考サイト:国税庁 「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
届出の提出方法は、下記の種類に分けられます。
①窓口での提出:直接税務署の窓口に行くと、記入漏れなどの心配をせずに提出ができます。ただし、平日のみの営業です。
②郵送・投函:開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるため、郵送や時間外収受箱への投函が可能です。
③オンライン提出:国税庁のオンラインサービスe-Taxの利用によって、自宅で開業届を提出できます。
着物の調達先と管理体制
着物レンタルを開業するにあたり、着物の仕入れ先と管理体制を確立しておくことが重要です。以下にその詳細を紹介します。
着物の調達方法
着物レンタルのビジネスを開始するにあたり、着物の仕入れは事業基盤の形成につなげられます。主な調達先として、国内外の信頼できる製造業者からの購入、卸売市場、古着屋からの購入が挙げられます。
下記がそれぞれの調達先におけるメリットとデメリットとなります。
仕入れ先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
製造業者 | ・直接製造業者から購入するため、新品の状態で提供されて品質保証もされる ・特定のデザインや生地などのカスタマイズしやすい | ・製造業者から直接購入する場合、仕入れ価格が高くなることがある ・仕入れ先から大量注文を要求されることが多く、小規模なビジネスには不向き |
卸売市場 | ・卸売市場は一般的に量販向けの価格設定がされているため、仕入れ価格が安定しやすい ・様々な製造業者やブランドの商品を一つの場所でき、多様な商品を扱いやすい | ・多くの異なる供給元から商品を仕入れるため、品質が一定ではないことがある ・価格が市場の需給に商品価格が左右されやすい |
古着屋 | ・古着屋からの購入は非常にコストが低く、低予算からでも仕入れやすい | ・使用済みの商品を扱うため、時に品質に問題がある場合がある ・一貫した供給が保証されていないため、同じ商品を継続的に仕入れることが困難な場合がある |
着物の種類と選び方
着物には様々な種類があり、目的やシーズンに合わせて適切な種類を選ぶことが重要です。事業計画にはターゲット市場を考慮した商品ラインナップの策定が欠かせません。
訪問着: 正式な席での必需品であり、格式高い装いが求められる場に適しています。
留袖: 結婚式などのフォーマルな場で用いられる伝統的な着物で、成人女性の礼服として重宝されます。
浴衣: 夏の祭りや花火大会など、カジュアルなイベント向けに着用されることが多く、手軽さが魅力的です。
保管とメンテナンス
着物の長持ちと状態を保つためには、適切な保管とメンテナンスが不可欠です。特に湿度と温度の管理を徹底し、定期的なメンテナンスが必要となります。
保管方法 | 重要ポイント |
---|---|
防虫措置 | 虫食いを防ぐために、定期的に天日干しと防虫剤の使用が推奨されます。 |
湿度・温度管理 | 湿度は50~60%、温度は18~25℃を保つことで、着物の状態が最適に保たれます。 |
適切な折り畳み | 折りジワを防ぐために、布団や専用の折り紙を用いた折り方が望ましいです。 |
効果的なプロモーション戦略
着物レンタルで成功を収めるためには、有効なプロモーション戦略が不可欠です。下記で具体的な施策を紹介します。
オンラインマーケティング戦略
現代の消費者は情報をインターネットで検索し、オンライン上の口コミやレビューを通じて判断を下します。トリミングサロンのオンラインプレゼンスを最大化することが集客には不可欠です。
以下に、トリミングサロンのマーケティングをするうえで重要なポイントを紹介します。
SEO対策でサイト検索からの集客
SEO(検索エンジン最適化)への対策をすることで、検索エンジンの中で上位表示されるようになり、トリミングサロンを探しているユーザーに自社の情報をダイレクトに届けられます。検索流入が増えると、Web集客が加速するので集客効果を高めることができます。
ソーシャルメディア活用
InstagramやFacebookなどのソーシャルメディアは集客において強力なツールです。ターゲットオーディエンスが多く利用しているプラットフォームを選び、魅力的なビジュアルコンテンツやユーザーの関与を促す投稿を行うことが肝心です。
また、インフルエンサーとのコラボレーションを通じて、リーチを拡大することも有効な戦略の一つです。そのうえで、ブランドの価値と一致するインフルエンサーを選び、効果的なコラボレーションが求められます。
MEO対策
スマートフォンの普及により、実店舗へのアクセスがオンライン検索を通じて増加しています。店舗運営にあたっては、単に店を構えるだけでなく、Googleマイビジネスの設定、ウェブサイトとGoogleマップの連携、口コミなどをマップ上での宣伝戦略を理解し、活用することが必要です。
これらの施策は、店舗のオンラインでの視認性を高め、集客をするうえで有利になります。
リテンションマーケティング
リテンションマーケティングとは、顧客との継続的な関係の構築に向けたマーケティング戦略を指します。下記で具体的な取り組みを紹介します。
顧客エンゲージメントの向上
メールマーケティングや会員限定イベント、SNSでの積極的なコミュニケーションを通じて、顧客との関係を強化します。顧客が関わりたいと思うブランドや体験を提供することで、エンゲージメントと顧客満足度を高めます。
リピーター向けのオファー
リピーターには専用の割引やプロモーションを提供することで、その忠誠心を更に深めることができます。定期的なアプローチは顧客の継続的な関心を保ちます。
着物レンタル向けの予約システムとは
着物レンタルの予約システムは、店舗予約や顧客管理を自動で行うシステムです。着物レンタルにおける業務の効率化はもちろん、集客に役立つ機能を数多く搭載しています。
ここでは、予約管理システムの導入メリットと、着物レンタルの運営に役立つ予約システムの機能について解説します。
予約システムの導入メリット
予約システムを導入することで、着物レンタルの予約受付において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。
・業務効率化
予約管理システムは予約受付や顧客情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要性を省けます。
・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や顧客の情報はデータ化されるので、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。
・マーケティングの強化
予約受付システムを通じて集められる顧客データを分析し、ターゲット市場の動向や顧客需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。
・顧客体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、顧客の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、顧客満足度も高められます。
着物レンタルに役立つ予約システムの機能
予約システムはさまざまな種類が存在しています。それぞれ特徴が異なるため、各着物レンタルに合った予約管理システムを判別することが必要です。
オンラインカード決済機能
オンラインカード決済機能とは、オンライン予約時にクレジットカードで決済できる機能のことです。 オンラインカード決済機能を活用することで、顧客は事前に支払いを完了できるため、予約当日にスタッフが要する業務の負担が軽減されます 。
LINE連携機能
LINE連携機能とは、LINE公式アカウントと予約システムを連携させる機能です。連携することで、LINE公式アカウントを友だち登録している顧客が、自身のLINEアカウントを使っての予約や配信コンテンツの受け取れます。顧客がLINEアカウントで予約をする際における、連絡先の入力作業を一部省略できることも利便性の向上に効果的です。
多言語対応機能
多言語対応機能とは、予約サイト内の文言を自動か手動で翻訳できる機能です。設定可能な言語は、日本語、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語、タイ語となります。予約サイトに多言語対応機能を取り入れることで、日本語力が十分でない外国人顧客向けに対応が可能です。
写真ギャラリー機能
写真ギャラリー機能は、予約メニューごとに最大20枚まで提供する着物やアクセサリーの写真を登録できる機能です。施設内の設備や利用環境を利用者に視覚情報として提示できます。
まとめ
本記事では着物レンタルの開業ステップや効果的なプロモーションについて解説しました。着物レンタルの運営に向けて予約システムを活用することで、効率的な店舗管理ができます。着物レンタルの運営を効率良く利用するため必要な事業計画やマーケティング戦略を多角的に学び、経営を行っていきましょう。
着物レンタルの運営には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!
画像引用元:RESERVA公式ホームページ
着物レンタルの運営におすすめの機能が豊富な予約システムRESERVAを紹介します。「RESERVA(レゼルバ)」は導入数26万社を超え、国内シェアトップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。RESERVAは、業界・業種問わず350種類以上の業態で利用されています。
パソコン・スマホ・タブレットに対応しており、最短3分で予約システムを作成できます。管理画面もシンプルでわかりやすいため、初めての予約システムに最適です。予約受付・顧客管理をはじめとする多くの機能が無料から利用可能で、開業直後の忙しい時期でも使うことができます。
RESERVAに搭載された豊富な機能は、業務効率の改善や費用の削減だけでなく、着物レンタルの集客にも大いに役立ちます。ぜひ利用を検討してみてください。