ドッグランは、犬がリードを外して自由に運動できる専用スペースです。屋外型のほか、天候に左右されにくい屋内型、時間帯や区画ごとに貸し切るタイプなど、さまざまな運営方法があります。
一般社団法人ペットフード協会の「2025年(令和7年)全国犬猫飼育実態調査」では、長期的に減少していた犬の飼育頭数に下げ止まりの傾向がみられています。犬との暮らし方が多様化するなか、安心して運動させられる場所や、飼い主同士が交流できる場所も選択肢のひとつとなっています。
一方、ドッグランの需要は立地や周辺環境によって異なります。開業を検討する際は、商圏調査や競合調査に加え、土地・設備にかかる費用、必要な手続き、安全管理、集客方法まで具体的に計画することが重要です。
本記事では、ドッグランを開業するまでのステップや費用の考え方、必要な許可・届出、経営管理、成功させるポイント、リスク対策について解説します。また、ドッグラン運営に予約システムを活用するメリットも紹介します。
ドッグラン開業の魅力と需要
ドッグランを開業する際は、犬を飼育している人がどのような場所やサービスを求めているのかを把握することが大切です。地域の特性に合わせた施設づくりが、安定した利用につながります。
ドッグランのニーズ
住宅が密集する地域では、自宅周辺で犬を十分に運動させられる場所が限られる場合があります。こうした地域では、犬が安全に走れるスペースを求める飼い主の利用が期待できます。
ただし、犬の飼育世帯が多ければ必ずドッグランの需要が高いとは限りません。周辺の既存施設、犬を連れて行きやすい公園、駐車場の有無、住宅地からの距離などもあわせて確認する必要があります。
地域の交流拠点としての価値
ドッグランは犬を運動させるだけでなく、犬を飼う人同士が交流する場所としても活用できます。犬種や年齢に合わせた交流会、しつけに関するイベントなどを企画することで、施設を継続的に利用するきっかけをつくることも可能です。
地域のペットショップや動物病院などと連携できれば、周辺のペット関連事業者とのつながりを形成しながら施設の認知を広げる方法も考えられます。

ドッグラン開業までのステップ
ドッグランの開業では、土地や設備を決める前に、事業のコンセプトや対象顧客、必要な手続きまで含めて計画することが重要です。ここでは、開業準備の主な流れを紹介します。
マーケットリサーチ
まず、出店予定地域にどの程度の需要が見込めるかを調査します。周辺のドッグランの数や料金、設備、営業時間、利用条件などを確認し、競合施設との違いを整理しましょう。
想定する利用者についても、近隣住民を中心にするのか、自動車で来場する広域の利用者まで対象にするのかによって、必要な敷地や駐車場、料金体系が変わります。
立地選び
立地を選ぶ際は、アクセスのしやすさ、駐車場の確保、周辺住宅との距離、騒音への配慮、排水環境などを確認します。屋外型では、日当たりや日陰の確保、水はけ、夏季の暑さ対策なども重要です。
将来的にカフェや物販スペースなどを併設する可能性がある場合は、拡張できる面積があるかも確認しておきましょう。また、土地の利用方法によって必要な手続きが異なる場合があるため、土地の購入や賃貸契約をする前に自治体の都市計画・建築関係部署へ相談しておくと安心です。
事業計画の策定
事業計画では、ドッグランの規模やコンセプト、営業時間、料金、想定利用者数、運営人数などを整理します。小型犬・大型犬のエリアを分けるのか、貸切利用に対応するのか、会員制を導入するのかなど、運営方法もこの段階で検討します。
売上については、入場料だけでなく会員料金、貸切料金、イベント、物販など、複数の収益源を想定すると事業計画を立てやすくなります。
開業費用・運転資金の見積もり
ドッグランの開業費用は、土地を購入するか賃借するか、屋外型か屋内型か、施設の規模などによって大きく異なります。そのため、一律の金額ではなく、必要な設備を洗い出して個別に見積もることが重要です。
主な初期費用
・土地・物件の取得費や賃借費
・造成・整地費
・フェンスや二重扉などの安全設備
・芝生、人工芝、舗装などの地面整備
・排水設備
・日よけ、ベンチ、給水設備
・受付設備や看板
・駐車場整備
・Webサイトや広告などの集客費
主なランニングコスト
・賃料
・人件費
・水道光熱費
・清掃・消毒費
・芝生や設備のメンテナンス費
・保険料
・広告宣伝費
・予約・顧客管理などのシステム利用料
特に屋外型では、排水や地面の整備、フェンスの施工などが費用に影響します。複数の施工会社から見積もりを取り、開業後の維持費まで含めて比較しましょう。
開業資金の調達
必要な資金を整理したうえで、自己資金だけで賄うのか、金融機関からの融資などを利用するのかを検討します。開業直後から計画通りに利用者が集まるとは限らないため、初期費用だけでなく、売上が安定するまでの運転資金も見込んでおくことが大切です。
必要な許可・届出を確認する
利用者が自分の犬を連れてきて施設内で遊ばせるドッグランについて、全国一律の「ドッグラン営業許可」が設けられているわけではありません。ただし、自治体の条例や土地・建物の条件、併設するサービスによって許可・届出が必要になる場合があります。
| 確認項目 | 必要になる主なケース | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 自治体独自の条例・土地利用等 | ドッグランの設置自体を条例の対象としている場合、土地の造成や建築物を設置する場合など | 市区町村の都市計画・建築・環境関係部署等 |
| 第一種動物取扱業 | 犬を預かる、訓練する、展示するなど、動物愛護管理法上の対象となる事業を併設する場合 | 都道府県・政令指定都市等 |
| 食品衛生法上の営業許可等 | カフェなどで人向けの飲食物を調理・提供する場合 | 管轄の保健所等 |
| ペットフード安全法上の届出 | 販売用の犬用ペットフードを製造・輸入する場合 | 地方農政局等 |
環境省では、営利目的で動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示などを行う場合を第一種動物取扱業の対象としています。そのため、通常のドッグランに加えてペットホテルや訓練などを提供する場合は、事業内容が登録対象となるか事前に確認する必要があります。
また、自治体独自の規制にも注意が必要です。例えば栃木県鹿沼市では、条例に基づきドッグラン施設の設置に許可申請などの手続きが必要とされています。出店地域によって制度が異なるため、計画段階で自治体へ確認しましょう。
犬用のおやつなどについては、販売するだけであればペットフード安全法に基づく事業者届出は不要ですが、自ら製造したり、販売用ペットフードを輸入したりする場合は届出が必要です。また、店舗で製造し、あらかじめ包装して持ち帰り用として販売する場合も製造業者としての届出が必要となります。詳しくは「農林水産省|ペットフードの安全関係」を確認してください。
>>ドッグカフェを開業する方法とは?必要な届出、費用、成功させるポイントを紹介
施設の設計と構築
施設を設計する際は、犬の脱走や衝突などの事故を防ぎながら、飼い主も快適に利用できる環境を整えます。出入口を二重扉にする、犬の大きさに応じてエリアを分ける、十分な高さと強度のあるフェンスを設置するなど、安全性を考慮した設計が重要です。
さらに、排水設備、給水設備、日よけ、休憩スペース、夜間営業を行う場合の照明なども検討します。完成後の清掃や補修を行いやすい素材・配置にしておくことも、継続的な運営には欠かせません。
ドッグランの経営管理
ドッグランを継続的に運営するためには、安全管理だけでなく、利用状況や収益を把握しながら施設を改善していくことが重要です。
ドッグランの日常運営
日常業務として、受付、予約確認、清掃、設備点検、利用者対応などを行います。時間帯ごとの利用頭数に上限を設ける場合は、混雑状況を確認しながら予約枠を管理することも必要です。
利用条件もあらかじめ明確にしておきましょう。犬の登録状況や狂犬病予防注射の確認方法、発情中・体調不良時の利用、犬同士のトラブルが発生した場合の対応などを利用規約として整理しておくと、現場での判断を統一しやすくなります。なお、犬の飼い主には、狂犬病予防法に基づく犬の登録と年1回の狂犬病予防注射が義務付けられています。
マーケティングとブランディング
集客では、公式WebサイトやSNS、Googleマップなどを活用し、料金、営業時間、設備、利用条件、駐車場の有無などをわかりやすく発信します。特に、実際の広さや地面の状態、小型犬・大型犬エリアの分け方などは、利用前に確認したい情報です。
地域のペットショップや動物病院、ペット関連イベントとの連携も、地域での認知を高める方法のひとつです。どのような犬や飼い主に利用してもらいたいかを明確にしたうえで、施設の特徴を一貫して伝えることが重要です。
収益化の方法
ドッグランの主な収益源には、都度利用の入場料、月額・年額の会員料金、貸切利用料金などがあります。さらに、イベント開催やペット用品の販売などを組み合わせる方法もあります。
複数の料金体系を用意する場合は、利用頻度や時間帯ごとの稼働状況を確認しながら見直しましょう。休日に利用が集中する場合は平日の利用を促すプランを設けるなど、施設の稼働率を意識した料金設計も重要です。

ドッグラン経営を成功させるポイント
ドッグランを継続的に利用してもらうためには、施設を開設するだけでなく、安全性や使いやすさを維持し、再来場につながる仕組みを整える必要があります。
顧客満足度を高める
利用者が安心して犬を遊ばせられるよう、清掃状態や設備の安全性を一定の水準に保つことが重要です。問い合わせやトラブルにも迅速に対応できる運営体制を整えましょう。
アンケートや口コミなどから利用者の声を集め、設備や利用ルールを改善することも、顧客満足度の向上につながります。
リピーターを増やす仕組みをつくる
ドッグランでは、一度だけの利用ではなく、継続的に利用してもらうことが安定した経営につながります。会員制度や回数券、定期イベントなど、再来場する理由をつくることが有効です。
また、季節や利用状況に応じて設備やサービスを見直し、いつ訪れても快適に利用できる環境を維持することも大切です。
地域との関係を構築する
地域住民や周辺事業者との良好な関係づくりも重要です。特に屋外型のドッグランでは、犬の鳴き声、自動車の出入り、営業時間などが周辺環境に影響する場合があります。
開業前から周辺環境への配慮を行い、必要に応じて近隣へ運営内容を説明することで、開業後のトラブルを防ぎやすくなります。
安全ルールを明確にする
犬同士の接触が発生するドッグランでは、利用者全員が守るルールを設定することが重要です。入退場時にはリードを使用する、犬から目を離さない、排泄物を適切に処理するなど、施設に合った利用ルールを定めて周知します。
スタッフを配置する場合は、犬同士のトラブルや脱走、利用者のけがなどを想定した対応手順を共有しておきましょう。
経営上のリスク管理
ドッグランでは、犬同士のトラブルや脱走、利用者のけが、天候による営業への影響など、さまざまなリスクが考えられます。開業前に想定される事象を整理し、対応方針を決めておくことが重要です。
事故発生時の対応
事故が起こった際にスタッフごとに対応が異ならないよう、緊急対応マニュアルを作成します。犬同士のトラブル、人への傷害、脱走など、想定される事象ごとに連絡方法や対応手順を整理しておきましょう。
事故が発生した日時、場所、状況、当事者、対応内容などを記録する仕組みも必要です。記録を蓄積することで、設備や利用ルールを改善する際にも活用できます。
利用規約・保険・法令を確認する
利用料金、キャンセル条件、禁止事項、事故が発生した場合の対応などを利用規約にまとめ、利用前に確認できるようにします。規約の内容について判断が難しい場合は、弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。
また、施設賠償責任保険など、運営形態に合った保険への加入も検討します。必要な保険や補償範囲は施設によって異なるため、想定する事故や事業内容を保険会社へ伝えたうえで確認することが重要です。
天候・季節変動に備える
屋外ドッグランでは、雨天や猛暑、積雪などによって利用者数が変動しやすくなります。年間を通した売上を予測する際は、繁忙期だけでなく利用が減少する時期も考慮して資金計画を立てましょう。
営業時間の変更基準や臨時休業の判断基準を決め、公式サイトやSNSで速やかに案内できる体制を整えることも重要です。
| 対象事象 | 主な予防策 | 発生時の対応例 |
|---|---|---|
| 犬同士のトラブル | 利用ルールの周知 混雑・頭数の管理 必要に応じたエリア分け | 犬同士を安全に離す 当事者へ状況を確認 発生状況を記録 |
| 人への傷害 | 施設内ルールの明示 危険箇所の点検 救急用品の準備 | 必要な応急対応 状況に応じて医療機関・救急等へ連絡 事故状況を記録 |
| 脱走 | 二重扉の設置 フェンス・扉の定期点検 入退場ルールの徹底 | 出入口を管理 飼い主と連携して捜索 必要に応じて関係機関へ連絡 |
| 悪天候・猛暑 | 日よけ・給水環境の整備 営業中止基準の設定 天候情報の確認 | 利用時間の短縮や営業中止 利用者への速やかな案内 |

ドッグラン向けの予約システムとは
予約システムを導入すると、ドッグランの利用予約や顧客情報をオンラインで管理できます。利用時間や定員を設定して運用する施設では、電話や紙で個別に予約を管理するよりも、受付業務を効率化しやすくなります。
予約システムの導入メリット
ドッグランで予約システムを活用する主なメリットは以下の通りです。
・予約管理の効率化
利用者がオンラインで予約できるため、電話やメールによる受付業務を減らせます。予約状況も一元管理しやすくなります。
・混雑の抑制
時間帯ごとに予約枠や定員を設定できるシステムであれば、一度に利用する人数や組数を調整しやすくなります。
・事前決済への対応
オンライン決済に対応するシステムでは、利用前に料金を支払ってもらうことができ、当日の会計業務を軽減できます。
・顧客情報の活用
予約履歴などを確認することで、利用状況の把握やリピーター向けの施策を検討しやすくなります。
ドッグラン運営に役立つ予約システムの機能
予約システムによって利用できる機能や料金は異なります。施設の規模や受付方法を整理したうえで、必要な機能を備えたシステムを選びましょう。
予約枠・定員管理
時間帯ごとに予約枠や定員を設定できる機能は、混雑を抑えながらドッグランを運営する際に役立ちます。貸切枠と通常利用枠を分けるなど、施設の運営方法に合わせて設定できるか確認しましょう。
オンラインカード決済機能
オンラインカード決済機能を利用すると、予約時に利用料金を支払ってもらうことができます。事前に決済を完了できるため、当日の受付や会計業務の負担軽減につながります。また、システムによってはキャンセル料の設定などにも対応しています。
LINE連携機能
LINE連携に対応する予約システムでは、LINEアカウントを利用した予約や、予約完了・キャンセル・リマインドなどの通知が可能です。利用者が普段使っているLINE上で予約に関する情報を確認できれば、利便性の向上につながります。
多言語対応機能
訪日外国人などの利用が想定される施設では、多言語対応も確認しておきたい機能です。例えばRESERVAでは、日本語のほか、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語、タイ語に対応しています。固定文言は外国語表示へ切り替えられ、施設紹介やメニュー名などは必要に応じて各言語の原稿を設定できます。
まとめ
ドッグランを開業する際は、地域の需要を調査したうえで、コンセプト、立地、開業費用、収益モデル、安全設備などを具体的に計画することが重要です。ドッグラン単体に全国一律の営業許可があるわけではありませんが、自治体独自の条例や土地利用に関する手続き、併設サービスに応じた許可・届出が必要になる場合があります。
また、開業後は清掃や設備点検、利用ルールの周知、事故への備えなどを継続し、安全に利用できる環境を維持する必要があります。予約制を取り入れる場合は、予約システムを活用して受付や定員、顧客情報などを一元管理することで、運営業務の効率化にもつなげられます。
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画像引用元:RESERVA公式ホームページ
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ドッグランの利用時間や予約枠をオンラインで管理したい場合は、予約システムの活用を検討してみてください。